平成29年度税制大綱についての所感

Taxes

平成29年度税制大綱について、さらっとですが所感。
詳細については、財務省の税制情報にてご確認下さい。

①個人所得課税

  • 配偶者控除&配偶者特別控除の見直し
  • 積立NISAの設立
  • 個人所得課税については、配偶者控除の見直しが大きなトピックと言えそうです。
    具体的には、配偶者控除の適用対象を給与収入150万円(所得金額85万円)に引き上げ。配偶者の給与収入が201万円以上となると、配偶者特別控除の対象外となるとのこと。
    合わせて納税者本人に所得制限を導入。給与収入1,120万円以上から控除額を低減。給与収入1,220万円で控除対象外となるようです。
    給与収入103万円→150万円ですから、年間で50万円程度、月間で4万円程度、収入がアップしても配偶者控除の適用となるとのことで、一か月で50時間超くらいは主婦層等のパート、アルバイトの活用がよりできるようになるということで、パート、アルバイトなどの労働意欲がより増すのではないかと。
    正社員が大半な組織ではあまり影響はありませんが、労働集約的で且つパート、アルバイトの比率が多いところは人手不足の解消とまではいかないかもしれませんが、それなりにプラスの影響があるのではないかと思います。
    個人的にはもう少しドラスティックに変えてもよいのではないかとも思うのですが、老年世代は専業主婦が多いようですし、影響みつつ少しずつ変えていくしかないのかなと。
    いずれにせよ人口が縮小していく一途を辿ることと共働きが一般的になってきている昨今では、配偶者控除の廃止はどこかの時点で提言しないといけないような気はします。
    それはそれで専業主婦層から反発はありそうですが、国家全体を考えたら、どこかの時点でやるべきなのかなと。
    積立NISAについては、若年層や夫婦等の株式投資をより進めるという目的で設けた制度と言えそうです。
    具体的には、非課税期間が20年、年間投資上限額が40万円ということで(上限はも少しアップしてもよいかな・・)、内容からも貯蓄→投資への分配をより促す為の仕組みと言えそうです。
    株式の知識があまりない人、株式投資に時間をさけることの出来ない人向けの非課税制度と言えそうです。
    ニーズはあると思うので、そこそこ受けそうな気はしますね。
    唯一、惜しいなと思うところは、現行のNISAと選択適用というところ。
    貯蓄→投資への分配を促すという意味では、あえて制限を設ける必要はないのかなと。
    短期、長期投資を併用して進めたいという人もいるでしょうしね。

    ②資産課税

  • 事情承継税制の見直し
  • 償却資産に係る特例措置の追加
  • 居住用高層建築物に係る課税の見直し
  • 事業承継税制については、相続時精算課税制度との併用を認めるとのことですが、
    はっきり言ってこの制度は制約が大きいこともあって、非常に使い勝手が悪いです。
    企業経営を行うにあたって、5年間も制約を受けなければいけないというのは、ちょっと厳しすぎますし、会社の状況によっては事業承継者が抜本的な改革を行わなければいけないということも十分ありえるはずです。今回、相続時精算課税制度との併用を認めることでいくらかリスクは軽減されますが、ここ最近の廃業数が増えていることも踏まえると、一族承継拘らず、内部昇格、外部承継をより柔軟にすすめやすくする制度が求められているように思います。事業承継税制についてはよりよい税制案を示してほしいです。でないと地方はより一層疲弊してしまいます。。
    居住用高層建築物に係る課税の見直しについては、所謂タワマン節税対策ですね。
    取りたてて述べることはないですが、とりあえず、見直しは必要だったのかなと。

    ③法人課税

  • 研究開発税制の見直し
  • 所得拡大促進税制の見直し
  • コーポレートガバナンス・事業再編の環境整備
  • 中小の優遇税制の厳格化
  • 中堅・中小企業の支援
  • 法人課税については、大きなトピックとしては、中小の優遇税制の厳格化とそれに伴った、中小企業向けの税制の拡充でしょうかね。
    具体的には、今まで税務上の大会社と中小会社との区分が資本金ベースだったものが、3か年の平均所得金額が15億円以上の会社については、資本金が1億円以下であっても中小優遇税制の適用対象外とする制度を設けるとのこと。
    ここ数年、節税目的の減資が増えていたこともあって、資本金ベースでの判断基準を見直すべきとの話は至る所で出ておりましたが、遂に見直しがなされたのかなと。
    厳格化した上で、中小企業の優遇税制をより手厚くしようという方針ですから、非常に理にかなった取り組みではないかと思っています。
    中堅・中小企業の支援、優遇税制については、所得拡大促進税制の拡充(賃上げ2%以上で法人税額22%控除)、中核企業向け設備投資促進税制、中小企業投資促進税制の拡充等々。
    中核企業向け設備投資促進税制は詳細がわからないところはありますが、計画書が必要且つ総投資額2000万円以上の事業で機械・装置の取得額の4%の控除か40%の特別償却。建物や設備などは2%の控除か20%の特別償却が出来る税制とのこと。どこまで受けるかわかりませんが、地方会社の攻めの投資をよりしやすくする制度はあってよいのかなと思います。
    そういう意味では、今年3月末期限の生産性向上設備促進税制が一番使い勝手がよかったのですが・・・。
    また、中小企業都市促進税制の拡充については、全ての器具備品、建物付属設備を対象にするとのこと。より使い勝手がよくなって利用する会社が増えそうです。
    その他、法人課税については、”組織再編税制の見直し”ということで、スピンオフ(会社分割)を柔軟に出来るような制度を導入するとのこと。今までは事業を売却したとみなされることもあり、新会社の時価と帳簿上の価値との差額が譲渡益となり、事業を切り出した法人に課税される仕組みとなっていたが、今後は事業を切り出した企業の譲渡益、新会社の株式を受け取った既存株主ともに課税を繰り延べして、スピンオフができるようになるとのこと。
    ここ最近、会社分割など組織再編周りの案件が増えていることを踏まえると、組織再編周りの整備はより進めるべきと思います。目的は組織再編を柔軟にすることで、会社の活性化をしやすくするということですね。
    ついでいうと、国内外問わず、M&Aの活性化を進めるという意味で、のれんの償却をなくした方がよいのかなと・・・。国内に限っていうと、M&Aが事業拡大の一手段というよりかは事業承継の一案という側面も強くなってきつつあるようで、M&A周りの環境整備もより求められているように思います。
    まとめると、ここ数年間で劇的に国内の環境が変わるであろうことを踏まえると、
    法人課税の整備が最も重要になってくると思われます。
    これまで以上に企業活性化につながるような制度の導入を期待したいです。

    ④消費課税

  • 酒税改革
  • 車体課税の見直し
  • 仮想通貨の消費税非課税化
  • 消費課税については、取りたてて大きなトピックはありませんが(特定企業にとっては大きなトピックはあるでしょうがw)、一点気になるところと言えば、仮想通貨の非課税化ですかね。仮想通貨の仕組みについては正直詳しくありませんが、非課税化ということで、より流通されていくのかなと。今後の動きはしっかり把握していく必要はありそうです。

    全体的な感想をいうと、選挙後ということもあってか、昨年の税制大綱で先送りした案件に手を付けたのかなという印象。大きな一歩と言えそうです。日本は東京オリンピックまではよい流れで行きそうですが、その後はかなり厳しい業況が見込まれることもあり、より企業の活性化をすすめるべく抜本的な改革が必要になってくるような気がします。

    umbra

    エニアグラムはタイプ4番、最たる強みは"収集心(マーケティング)"×"会計税務スキル" どちらかというと、宇多田ヒカルの「歌」というよりも「テキスト」がすき(はあと)。 専門商社にて総務経理を担当しております。 キャリアは、会計事務所に入所。入所後は会計事務職として、会計税務、給料計算、社会保険手続き、登記手続き、法人税、消費税、所得税、相続税など様々な案件を経験。2013年に主任に昇格。2015年に会計事務所を退職。同年、専門商社へ転職。総務経理を担当。前職の経験を活かして、会計税務、総務周りの仕事を担当。最近では新卒採用の企画を担当。 興味分野は税務会計、テクノミュージック、宇多田ヒカル、ランニング、トレイルランニングです。 連絡先:dive4you(あっとまーく)gmail.com

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>