中小企業の経理DXにおける諸問題について

2023年から2024年にかけて取り組まなければいけないインボイス制度の対応と電子帳簿保存法の対応、いわゆる経理DXについて実務的な対応を踏まえて思うままにつらつらと書いてみます。
まず結論ですが中小企業の経理DXは簡単にはできません。
いくつか主だった理由はあるのですが実務で携わった印象でいうと大きく2つ要因があるように思います。

一つ目はよくある話ですが費用対効果の問題です。
インボイス制度も電子帳簿保存法も大企業であればシステム導入やIT化を推し進める上での費用対効果をそれなりに見込みやすいのですが、企業規模が小さい企業であればあるほどさほど費用対効果が見込めません。
そもそも企業規模に見合った使い勝手のいいシステムの選定や構築が出来るかどうかといった観点からも経理DXの難しさはかなりあります。
正直な話、アナログのままの方が経費的にも時間効率的にも有用という見方も十分出来得るため、経営サイドがデジタル化、DX化を主体的に進めるくらいでないとなかなか進みがたいところがあるように思います。

次に社内人員の問題です。経理DXを推進する上で最大の問題といってもよいのですが、まず中小企業において、経理とシステム両方の見識があり、会社の経理実務を踏まえた上でシステムの選定からカスタマイズ、運用までを網羅的に出来る人が基本的に存在しません。
特に今回施行されるインボイス制度や電子帳簿保存法はどちらもこれからの経理実務に直接影響してくる大きな改正でもあり、経理実務の見識が深い人で且つシステムへの理解がある人材が細部にわたって対応することが非常に求められる制度改定であり、中小企業においては経理実務(具体的に会計処理や記帳業務など)を内製化出来ているかどうかが経理DXが出来るかどうかの一つの判断基準になってくるのではないかと思います。
会計事務所などに丸投げしている企業であれば、システム導入を進めるメリットも薄いですし、特段経理DXなどに取り組む必要性はないように思います(※それはそれで今までと何も変わりませんが・・)。
本当は会計事務所自体が企業と連携してDX化を推進できればよいのですが、中小零細の会計事務所に個別企業の経理DXをコンサルしてもらうというのは敷居が高いと思いますし、システム会社ではないのでそこを求めるのは少し筋違いなのかと。。
とはいえ、DX化や法改正の潮流を見ても、明らかに経理財務や会計事務所に求められる役割は変わってきており、年々システム寄りの見識が求められるようになってきていると感じます。

改正電子帳簿保存法とインボイス制度対策のための 経理DXのトリセツ
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Posted with Buyer at 2023.05.24
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エニアグラムはタイプ4番、最たる強みは"収集心(マーケティング)"×"会計税務スキル" 専門商社にて総務経理のお仕事をしてます。 キャリアは会計事務所に入所。入所後は会計事務職として、会計税務、給料計算、社会保険手続き、登記手続き、法人税、消費税、所得税、相続税など様々な案件を経験(6~7年)。2013年に主任に昇格(2年)。2015年に会計事務所を退職。同年、専門商社へ転職(3年目~)。前職の経験を活かして、会計税務周りの仕事をしつつ、最近では与信管理、採用、企業PR業務に注力中。 興味分野は税務会計、テクノミュージック、宇多田ヒカル、ランニング、トレイルランニングです。 連絡先:dive4you(あっとまーく)gmail.com

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