流通大変動-現場から見えてくる大変動-

流通大変動-現場から見えてくる大変動-を読了。
流通の変遷をコンパクトにまとめた一冊。以下、気になったところをメモ。

  • ダイエー→利益より売上重視。不動産を担保に継続して融資を受けることを可能にすることで更なる投資を素早く実行できる。ある意味、投機的な志向をもっている。
  • イトーヨーカドー→土地を取得せずに借りて事業を行うため、本業の小売業で利益を上げるしか道はない。本業ベースなビジネスモデル。
  • 結果、ダイエーは買収、投資を繰り返し、負債も増えるがそれにもまして資産価値が上がることで見た目には悪影響はないかのように且つ売上も増やすことができた。
    しかしながら、バブル崩壊もあり、資産価値が大幅に減ることであっという間に財務が悪化してしまった。ここで重要なのは資産価値は増減することがあっても、負債は当然の話だが債務であり、返済する義務があるということ。

    成長市場は狩猟型、成熟市場は農耕型ビジネス。具体的にはリピーターを増やす。継続的な顧客からの支持を高めることに力を注ぐ。
    消費者には予算の制約と時間の制約が存在する。

    問屋が入ることで、取引件数の集約化、小売店に対する金融機能、商品の情報提供、倉庫機能が可能になる。一方で、昨今、問屋が担ってきた機能(商流機能、決済機能)が小売りや物流業者にとってかわってきた。

    上流は製品で差別化、下流はビジネスモデルで差別化が可能。中流は商品、サービスにおいても差別化が難しい。そういった現状でも深くカーディナルヘルスのように下流に深く食い込むことで、下流部分に存在する付加価値を最大化→所謂コンサルティング、ソリューションに特化することで利益を最大化できる。ただし、拡大が続ける市場ではより効率的に生産し、より大々的に販売する機能の中心にある中流企業が儲かる。所謂、逆スマイルカーブが起きる。

    などなど。国内でいえば、問屋はコンサルティング、ソリューションビジネスとしての価値の最大化することで差別化が可能、国外、とりあけアジアの成長市場は現状のビジネスでも十分通用するということか。

    流通大変動―現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書 425)
    伊藤 元重
    NHK出版
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