企業再生プロフェッショナル

Numbers And Finance

「企業再生プロフェッショナル」を読了。
文庫サイズではありますが、コンパクトにまとまっていて且つ物語仕立てというのもあってとても読みやすいのではないかと思います。
企業再生の現場を知る上で参考になるといっていいかもしれません。とりわけ財務診断の際のヒアリング、コスト削減のアプローチなどは興味深く読みました。個人的によいなと思ったこととしては、各項目毎に小説で描いた点の実務的な解説がまとめられている点と、小説ではあるけれども、極めて現実的な話に終始されているのがよいのかなと。とはいえ、実際にはもっとどろどろとしたやりとりがあるとは思いますが、そこは小説としては不必要なのかもしれません。

以下、個人的によいなと思ったところを引用。

「5億円のコスト削減プランの具体化をこの一ヶ月でお願いします。」
どの分野で、どれくらいの額を、どう減らすのかの方法なぜ減らせるのかの理由いつまでに実行するのか実行の責任者は誰か、以上の6つの計画を明らかにした計画を作ってください。」

こんなの当たり前じゃないかと思う人もいるかもしれませんが、意外と徹底されていないのが現実です。とりわけ大事なのは、”何故減らせるのか?”、”いつまでに実行するのか”、”実行の責任者は誰か”の3点です。これは再生計画を作るうえで、単なる数字遊びにならないことを防ぐ為にも大事ですし、現実問題として、実行可能かどうか?トップが本当にやり切れるかを確認する上でも抑えておくべき点かと思います。例えば、業績が悪化した為に役員報酬を減額する計画を盛り込んだのにも関わらず、一向に減額しないといった場合が中小企業ではままあります。これはいつまでにやるのか、実行者は誰か?が曖昧な計画を作成した為に起きる事例であります。もっというと、再生計画にトップが深く関与していないが為にこちら側と比べて現状認識が甘いままになってしまっている。それと、これをいってはなんですが、”トップにも生活がある”ため、覚悟が出来ていないといった場合もあります。逆に考えると、トップに深く関与してもらうことが再生計画を作成する上でいかに大事であるかの裏返しでもありますね。

再生が必要な状況に陥った企業で共通してみられるの病状が”決められない”病である。・・・・「決められない」のは気持ちの問題からだけではない。「決める」ためには客観的な数値、データが不可欠である。

再生に限らずですけど、いかに経営者に客観的な数値、データを提供出来るかが大事だなーと改めて思った次第。ジャッジしてもらうためにはどのようなデータが必要か、求められているかを認識し、その上であれもこれもにはならずに端的に示せるかが大事なのかなと。

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※内容が似ているわけではないのだけど、本の作りが似ている。企業再生プロフェッショナルを読んだ人なら興味深く読めるでしょう。

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