A2Z

山田詠美の作品は何故か好きだ。そういった体験をしたいと決して思っているわけではないというのに(深層心理ではしたいと思っているかもしれないけれどw)、まともな恋愛すらしたこともないというのに、とても好きだ。なんでかな?と考えてみるに、ストーリーがいいというより登場人物が魅力的なのかもしれないなと思った。A2Zでいえば、夏美と一浩。どちらともやり手編集者で似たもの同士で、結婚しているというのに、ほどなくしてパートナーとは異なる魅力をもった若い女や男に手を出す―しかも一浩はそれをあっけらかんと夏美に打ち明ける。普通に考えたらありえない展開だ。だけど、それでも夫婦として成立する妙味。TVでよくあるような、どろどろとした穢れが金輪際感じられない不倫(しかもお互いに)。それなのに、繰り広げられる会話は何故かやたらと現実的で響くものがある。

好かれるのは、うっとりと目を閉じて、すごく良かったわ、とだけ呟く女。それは解っている。ついでに、こんなの初めて、なんて付け加えておけば、なおさら好感を持たれる筈。

恋をしたら、誰もが自分の内なる子供に占領される。その部分の大きさは、人それぞれだけれども。まるで子供のように、欲しがる、泣く、訴える、そして、笑い、満足する。大人の所作にしては身勝手すぎる。それが、恋にうつつを抜かすこと。

人と出会うのって、全部ハプニングじゃない。でも、それを偶然にしておくかおかないかは、その人の意欲にかかってるんじゃないかって思う。

一緒に泣くことを友情と勘違いした女が、どれ程多いことか。問題を抱えた時に、本当に助けになるのは、うまい飯、上等な酒、乾いた笑いに、辛辣な助言。

A2Z (講談社文庫)

umbra

エニアグラムはタイプ4番、最たる強みは"収集心(マーケティング)"×"会計税務スキル" 専門商社にて総務経理のお仕事をしてます。 キャリアは会計事務所に入所。入所後は会計事務職として、会計税務、給料計算、社会保険手続き、登記手続き、法人税、消費税、所得税、相続税など様々な案件を経験(6~7年)。2013年に主任に昇格(2年)。2015年に会計事務所を退職。同年、専門商社へ転職(3年目~)。前職の経験を活かして、会計税務周りの仕事をしつつ、最近では与信管理、採用、企業PR業務に注力中。 興味分野は税務会計、テクノミュージック、宇多田ヒカル、ランニング、トレイルランニングです。 連絡先:dive4you(あっとまーく)gmail.com

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