本格派のサッカー小説。01-02は下部組織→トップへの軌跡を中心に、02-03はトップリーグでの連戦模様を中心に描いている。基本的にサッカーに興味がある人なら楽しめると思う。
+実際にサッカー経験者(経験が濃いものであればあるほど)なら、自分に置き換えて読み込むことも可能かもしれない。
残念ながら、僕はサッカー部に所属していたわけではないので詳細な試合風景についての記述にのめりこめたかといえば、正直、そうでもない。
寧ろ、途中途中のスペインリーグの過去の話などのウンチク話なんかの方が興味津々だったような気もする。…とはいいつつも、読むことがきついというわけではなく、全体的によく出来たスポーツ小説だとは思う。
特に01-02の下部組織→トップ昇格での強烈なまでの競争意識、普通の10代では経験し得ない壮絶な環境、そして、そこでの主人公の悩みであったり、人間模様の描き方は素晴らしいの一言。
およそ、僕のような平凡な人間では経験し得ないような世界だなと溜息が出る次第だ。
そういえば、サッカー解説者の風間さんが何かの雑誌で「スポーツの世界はドラゴンボールのようなものだ」と語っているのを見かけた事がある。その先が永遠じゃないかと錯覚するほどに、ステップアップする度に、必ずその上をいく人がいる。「上には上がいる」を地でいく世界がスポーツなんだと説いていたような…。
僕がそれを100%理解できてるかといえば大いに疑問だけれど、確かにそうだと思う。
常に競争。常に孫悟空のように勝たなければならない。勝利できない奴は去るのみ。
過酷な競争社会だ。01-02、02-03ともにそういったスポーツの厳しさを描いた作品でもあるわけで…。
我々凡人はそういった厳しい競争を潜り抜けた末の「栄光」に辿り着けない代わりに「娯楽」としてスポーツを捉える、嗜むことが許されているのかもしれないなとも思った。それにしても、サッカーでも野球でもバスケでもなんでもいいのだけども、この世で一番というのはどんな気分なんだろうか?