電子帳簿保存法改正2015

iPhone 02

平成27年税制改正の大綱にてスキャナ保存制度の改正(PDF注意!)がなされたことにより、帳簿書類の電子化がより一層進むと思われる。因みに現行の電子帳簿保存法では、

  • ×国税関係帳簿:仕訳日記帳、総勘定元帳等の電子化は不可
  • ×国税関係書類:貸借対照表、損益計算書、在庫表など決算書類は不可
  • ○国税関係書類:契約書、領収書で3万円未満は可※
  • ○国税関係書類:請求書、納品書、見積書、発注書は可
  • 以上により、契約書等3万円未満、請求書等のみがスキャナ対象とされていました。また、スキャン時の処理についても

  • 200dpi以上のカラー画像のスキャニング
  • カラー保存※
  • 検索機能法の確保
  • 国税関係書類との検索性の確保
  • システム関係書類の備えづけ
  • 電子署名、タイムスタンプ、ヴァージョン管理※
  • などが要件とされていました。その上、スキャナ保存開始日より3か月前に税務署に申請することが義務付けられていました。

    今回の税制改正の大綱では、

  • ○国税関係書類:契約書、領収書で3万円以上も可
  • 保存形式が白黒でも可
  • 書類の大きさに関する情報が不要となった
  • タイムスタンプとともに入力者に関する情報の保存が必要となった
  • その上で、①相互けん制②定期的なチェック③再発防止策などの整備をするとともに、社内規程等を整備した上での事務処理が申請要件となるようです。

    大きな改正点としては、契約書、領収書で3万円以上のスキャナ保存の対象となったことでしょうか。これにより大多数の国税関係書類の電子保存が可能となります。

    さて、想定される具体的なメリットデメリットとしては、

  • ○帳簿書類の保管費、本支店間の運送料のコスト削減
  • ○検索機能による事務作業のスリム化
  • ○紛失リスク、保管作業の減少
  • ○電子化によるデータ入力の自動化など積算作業の効率化
  • ○税務調査時の対応などの効率化
  • ×スキャニングの要件などの厳格さ
  • ×システム担当の負担増
  • などなどでしょうか。基本的にメリットの方が多そうですが、やはり現状はスマホカメラでのスキャニングが許可されていないという点がネックであるようにも思います。現状だとスキャニングの作業自体が煩雑なのではないかなと。後、27年の9月から改正が適用されるとのことですが、現状別件でのシステム案件の整備が手一杯ですし、地方で適用できるようになるのはも少し先の話になるのかなーと思う次第です。何はともあれ、これ以上の電子帳簿の保存が緩和されることを願う次第です。

    参考url一覧

  • 平成27年度税制改正の大綱
  • 財布の中の領収書とおさらばする―電子帳簿保存法改正の動きとコンカーの取り組み
  • 税務関係書類のスキャナ保存要件の大幅な規制緩和に関する情報
  • 電子帳簿保存法について
  • Read More

    依頼されるということ

    今の仕事をずーーっとしてきて、一個人として、一社会人としても、どうしても納得できない、許せないと思うことがあり、自分だったらこうするのになーとその都度思っていたことがある。傍からみたら大したことではないかもしれない。そんなことに目くじらたてるなんて!と思う人もいるかもしれない。ていうかいると思う。

    だけど、なんていうか、嫌なんだよね。
    “忙しい”とか”後で”とかいう一言が。そして、そういう一言で下の人からの依頼を断った後、ほどなくして退勤するといった言動不一致な”行動”が。
    そんなこと?と思うかもしれない。でも、その遮る一言と矛盾してる行動で、一歩、二歩とお客様への納品が遅れ、信頼が損なわれていっていることに何故気付かないのか。その”後回し”の連鎖で下の人がいっぱいいっぱいになっていることに何も感じないのか。

    知識とかそんな高尚な次元の話ではない。一個人としての”心”が問われている。それすら出来ない、何も感じない人に何が出来ようか。そんな現状で”会○奉○”なんて、嘘っぱちもいいところだ。

    だからというわけでもないけど、自分に依頼があったときはどんなに忙しくても、厳しくても断らないようにしている。もちろん、ときにはにっちさっちもいかない時もあるので、”絶対”とは言い切れないのだけどw今年になってから、その分の負担は少し増えては来ているけど、まあそこまできついというわけでもない。一日、30分、1時間ちょい労働時間が増えるだけの話であり、その依頼された仕事を受けることで自分の会計税務の引き出しも増えるので悪いことは何一つない。
    これが絶対いいとは言い切れないし、正直わからないけど、この人ならと思って”依頼”しにきていると思うので、その期待に応えられたらなと。

    と、なんだかかっこいいこと言ってますが、まー実のところ、うまい具合に利用されているだけかもしれない。。ただ、社内でも社外でも一つ一つの仕事は大したものではないかもしれないけど、こういう積み重ねこそが大事だと思うので。

    Read More

    うまくいっている会社とそうでない会社の違い(中小企業編)

    まず、うまくいっている会社は外部、内部要因含め、様々な要因が絡み合っての好業績であり、一概にビジネスモデルがよかったからとか、経営者が優秀だからと簡単に論じることは中小企業であっても出来ないと思います。ただ、あえて一つ挙げるならば、会計税務が詳しいわけでもないにせよ数値管理に強いトップが多いという印象はあります。具体的にいうと、本業は営業だが、月毎の売上、粗利、営業利益がどれくらいか経営者自身がざっくりではあるが把握できている。2,3か月前から決算がどれくらいの数値になるかを逆算して決算時点での節税対策などに余念がないなどなど。傍から当たり前ではないか?と思われる話かもしれませんが、これが結構出来ていない経営者は多いです。特に日毎月毎の売上、粗利などがどれくらいかを全く把握できていない経営者は意外に多いです。

    一方、うまくいってない会社の特徴をいうと、これが怖いぐらいに特徴が一致します。
    ①経営者自身がそこそこでいいという考え方
    中小企業はトップ次第で決まる部分が非常に多く、経営者自身が”そこそこでいい”という考えで働いていると、従業員にもそういった思考であることを見透かされてしまい、必然的に社内にぬるい雰囲気が生まれやすいです。これは組織全体に悪影響を及ぼしてしまうので非常にまずいです。
    ②数値管理に弱い、仕事にズボラ
    うまくいっていない会社は数値管理に弱く、日毎、月毎の数値管理、資金繰りが全く把握できていないことが非常に多いです。所謂、会社自体がその日暮らし、自転車操業的な働き方になってしまっているということですね。何か月もB/S、P/Lがわからない状況であることを気にも留めないという方も中にはいらっしゃいます。信じられない話かもしれませんが。。
    ③自己中、嘘をつく
    会社のことよりも、自分自身の給料、生活のことをまず第一に考える、そんな自己中心的な経営者は経営者として失格です。会社あってこその経営者であることを自覚できていない時点で問題です。こういう経営者の場合、金融機関との約束も平気で破ってしまうことが多いです。

    いかがでしたしょうか。まとめるとなんだか当たり前のことばかりではないか?という印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、これが意外や意外、出来ていない方が多いのです。うまくいっていないと、ビジネスモデルがとか商品がとかどうしても目につきやすいことばかり考えてしまいがちですが、まずは当たり前にやるべきことをしっかりと出来ているか?自分自身を深く見つめることが大事です。

    Read More

    2015年の抱負

    あけましておめでとうございます!2015年も宜しくお願い致します。
    さて、新年ということで今年の抱負を挙げてみます。

    ①継続的な知識の獲得と実践
    継続的な知識の獲得ということで、昨年同様、簿記論をベースに、税制改正のキャッチアップ等を1日1時間を目標に継続的な知識の獲得に努めることと、会計税務に限らず、コンサルティング、マーケティング等、自身の興味がある本、雑誌等を40冊前後、1か月3冊を目標に読んでいければと思います。とりわけ、最近は会計税務だけでは難しくなってきていることもあり、会計税務に加えて、絵にかいた餅にならない、”実践的なコンサルティング”を学んでいけたらと思います。大事なことは読むだけで終わらずに、具体的にどう実務に活かせるか、実践的に取り組んでいけるかを常に意識することだと思います。

    ②知識と経験をわかりやすく×サービス精神、ホスピタリティ精神×スピード
    当然のことですけど、お客様の御支持があってこその商売です。お客様に必要だ!と感じて頂けるだけの価値を提供出来なければ、どんな商売であっても続けることは難しいわけであります。ところで、会計税務という仕事は一般の人、会計税務に疎い経営者からみると、非常にわかりにくく、とっつき辛いものであり、もっというと、”単なる固定的なコスト、金食い虫である”と見る向きもあるようです。
    そういった捉え方をされるということは、何かが足りないのだと思います。会計税務の知識と経験をわかりやすく伝えるよう心掛けているか→どんなに正しいことをいっても相手に伝わらなければ意味がない。資金繰りが厳しい、経営改善を考えている、売上が伸びない、利益が出ない、節税対策、相続対策、事業承継、投資計画、新規事業等、お客様によって様々な課題を抱えていると思いますが、そういったお客様が”困っていること”(報酬が発生するかに限らず)に常日頃からキャッチアップ出来ているか→実は困っていることはあったのだが、信頼関係が築けていない為、そういったキャッチアップがなされないままになってしまった。又は数字を見る限り、厳しい状況だとはこちら側でも十分認識出来ていたにも関わらず、何もアクションを起こさなかった。そうならない為にも、お客様が”困っていること”に対して、サービス精神、ホスピタリティ精神をもち、急ぎの案件であれば、上の人の力を借りてでもスピード感を持って接することが大事なのではないかと思います。自分自身、決して出来ているわけではないですが、知識と経験をわかりやすく×サービス精神、ホスピタリティ精神×スピードを常に意識して取り組んでいけたらと思います。

    ③後進の育成、指導
    昨年以上に後進の育成、指導を取組めたらと思います。単に揚げ足取りに終わることなく、”本質”をついたやり取りをすることで、相手に数字の見方であったり、気付きを与えられたらと思います。また、定期的に手伝い、調べ物等をお願いしていきたいとも思います。最後になりますが、部下の仕事の状況も鑑みた立ち回りを常に心掛けることを忘れずにこの一年頑張ります。

    ④体調管理、整理整頓、掃除
    昨年同様ですが、今まで以上に体調管理と体重増に気をつけていけたらと思います。その為にも、①睡眠時間の確保②適切な持病への対処③健康的な食生活、以上3点を意識してやれたらと思います。整理整頓、掃除については現状あまり出来ていないので、後回しにせずに一つ一つ仕事においてもプライベートにおいてもやっていけたらと思います

    ⑤トレイルランニング参加!フルマラソン完走!!
    今年はトレイルランニング、フルマラソン含めて、4,5回程参加できればと思います。そして今年こそフルマラソン完走!!を目標に、まずは体重減と長距離、長時間の練習を継続的にできたらと思います。

    ということで、今年も宜しくお願いいたします。今年はどの項目も達成度が50%を下回らないように出来たらと思います。

    Read More

    力強い組織カルチャー

    ①短期的な利益を追わない→押し込みセールスの禁止
    押し込みセールスが常態化してしまうと、最終的に商品の価格下落と、商品価値そのものの低下を招いてしまうため。

    「流通在庫の徹底管理」
    「商品がディーラーからお客様の手元に渡ったとき、初めて売上げになるという考え方を徹底的に育成してきた」と玉川氏。不必要な在庫をディーラーに背負わせないことで、市場から余剰在庫がなくなる。その効果は新製品の発売時にも表れ、リプレイス製品における不必要な価格下落を発生させることなく、スムーズで迅速な新製品へのトランジションを実現できるようになる。

    ③むやみに価格で遊ばないということ。発売前に必ず正しい需要予測を立て、発売後の価格変更は必要な時にしか行わない。需要予測を誤ると過剰在庫が生まれ、必要もないのに価格を下げなければならなくなる。ソニーが価格を下げると他社もこれに追随し、結果としては販売台数が伸び悩む割に、利益も減るという悪循環が生まれてしまうと玉川氏は語る。

    「どの商品がどれだけ売れたか」を日次で把握・管理し、前月/今月の月末在庫を把握。実売の実態をシビアに管理しながら、将来の需要予測とマーケティング・販売プランを構築。

    ⑤販売実績に問題が見られる地域では、問題のクラスターとチャンネルを徹底的にあぶり出して、なぜその地域で販売が伸びていないのか、原因を徹底解明。必要に応じて現場にも足を運び、問題を解決していく戦略を採ってきた。「事実がわかれば対処ができる。データの取り方・見方・考え方を確立させて、正しい戦略を立てることが大事」

    ⑥カリスマ・プロモーターたちをヘッドクオーターに集めて意見聴取を行っていたという。「今年のモデルは昨年のモデルと比べてどうか」「コンペティターとの比較要素は」「どこがセールスポイントになるか」「どうしたらお客様に響くデモがつくれるか」といったテーマについて、徹底的にディスカッションを重ねる。「彼らは毎日店頭に立って、他社の販売員と競争を繰り返している。そんな彼らから得られる意見はとても貴重だ。そのコメントを集めたレクチャービデオも製作して、社内のネットワークで共有する。そうすると他の販売員にも“売れるコツ”が伝わり、引いてはお客様にとっての商品体験価値の向上にもつながる」

    http://www.phileweb.com/interview/article/201209/11/154.html

    うーん、面白いです。データ営業、経営の好事例。ポイントはデータありきではなく、データを見る目と現場を見る目をリンクして養わせているところがいいのだと思う。これのいいところは属人性が高くないので再現性が高いことだろう。”論理と算盤”×ドブ坂営業といった仕組みかな。

    Read More

    生き残りをかけたスーパーマーケット業界

    food glorious food

    「50年の一度の大転換期を迎えるスーパーマーケット業界」(PDFです!)を眺めたうえでの雑感。

    少子高齢化、人口減少社会の到来によって、次の一手をどうすべきか。一言でいうと、

    地域内でのパワーゲームに勝つ→地域一番店になる道しか成長は望めない

    そのためには、
    ①バイイングパワーの強化→コスト削減
    ②PB商品、独自商品の販売強化→高収益な体制へ
    ③ITを用いた店舗内業務、物流の効率化、生産性向上→継続的なコスト削減
    ④立地戦略、店舗戦略の創意工夫→小店舗化、あると便利!と感じられるサービス、ドラッグストア、コンビニの強みを相殺するサービス=ニッチ化

    などなど。読んでて気づいたけど、スーパーだけではなく、どの小売にも当てはまりそうな気もする。
    ①~③はスケールメリットがものをいうところもあるので、大企業が手を打つべき戦略だと感じる。④については、大企業ではなく、寧ろ中小の小売りがやるべき戦略ではないか。創意工夫なんていってるけど、そんな生易しいものではないかな。ニッチ且つ高収益なモデルに変化できれば成長可能性はなくはない。中小小売りが単独で生き残るとするならば、どう考えてもニッチ化だよなあ。。

    Read More

    日本の稼ぐ力

    Shibuya at Oicity

    「日本の稼ぐ力」の資料を眺めた上での雑感。

  • 半数弱の経済圏は人口減少、少子高齢化により将来的にマイナス成長がほぼ確実視されている
  • 域外市場産業(製造業、農産業、観光業)は効率性を高めることが出来ればプラス成長は可能。
  • 域内市場産業(小売、生活関連サービス業、医療福祉)は人口、需要の減少を受けるため、医療福祉ビジネス(+3~4%)を除いて総じてマイナス成長▲3~5%前後と推定されている。事業運営の効率化が必須である
  • グローバル、グローバル且つニッチビジネス、メーカーは強い。
  • そういった中で域内市場産業、比較的インフラよりなビジネスが生き残るのはどういう手をうつべきなんだろうねえ。

    ①効率性、生産性を高める(例えば、受発注、倉庫業務におけるITの積極的な導入、自動化)ことによる人件費削減&一人当たり売上高、時間当たり売上高の向上&利益率の向上
    ②インフラ輸出→過大な投資リスク、カントリーリスクは伴うが、それを上回る成長余力をもった市場、海外に進出することで売上、利益とも増収増益出来るか
    ③域内でのパワーゲームにおいて勝つ→最も無難な選択肢、直近の課題であるのは間違いないが、長期的にみれば、その選択が正しいかはわからない。結果、パワーゲームに勝ったとしても地方では大きな成長は見込めない。
    ④組織再編&企業買収→スケールメリット&人材の獲得&効率性、生産性アップ→成長に伴う時間の短縮、メーカー機能の付加などなど。
    ⑤医療福祉ビジネスに参入辺り

    Read More

    課税売上高5億円超の仕入れ控除額の計算方法における実務について

    さて、3月決算真っ盛りの今日この頃ですがいかがお過ごすでしょうか。
    今回取り上げる話題はH25/3月決算から適用となる消費税法改正の件となります。いわゆる課税売上高5億円超の仕入れ控除額の計算方法についてですね。

    まず、今までは課税売上割合が95%以上であれば、課税仕入れに関わる消費税額は全額仕入れ控除の対象とすることができましたが、今回の改正により課税売上が5億円超の場合は、課税売上割合が95%以上であっても全額仕入れ控除額の対象とすることはできなくなりました。その場合の計算方法としては、従来からありました個別対応方式一括比例配分方式のいずれかで計算することとなりました。この二つの方式が今までと何が異なるかというと、一言で言うと、消費税額の内、”ひききれない消費税(いわゆる、控除対象外消費税)が生じる”ということになります。

    個別対応方式、一括比例配分方式は従来からある計算方法ではありますが、大多数の企業は課税売上割合が95%以上であり、全額仕入れ控除税額の対象とすることが出来ていたため、先の個別対応方式、一括比例配分方式のおけるノウハウははっきりいってないのではないかと思います。その為、今回の3月決算において想定以上に消費税の検討及び修正等に時間が取られてしまうといったことが予想されます。というか、大企業であればあるほど、事前に消費税の区分を抑えておかないとそれこそ取り返しのつかないことになるのかなと。

    そこで、今回は個別対応方式について書いてみようと思います。個別対応方式ですが、計算式としては「課税売上対応分に係る消費税額+仕入共通分に対応する消費税額×課税売上割合=仕入控除税額」となります。その為、今までと違って、消費税区分を①課税売上にのみ対応する仕入、支払②課税売上、非課税売上に共通対応の仕入、支払③非課税売上のみに対応する仕入、支払と区分わけする必要が生じます。これが判断に悩む部分でして、まず大前提となる判断基準としては、“課税売上にのみ直接対応しているもの”と判断できる場合しか課税売上にのみ対応する仕入、支払とすることができないよ!ということです。逆に考えると、課税売上、非課税売上、どちらにも対応してそうだなーと思われるグレーなライン、判断がつきにくいものについては、基本的には”仕入共通”とするのが無難かと思います。また、”非課税売上にのみ対応する仕入”については、借り上社宅等の支払いなど、該当する支払いが限られていますので事前に抑えておくのも一つの手かと思います。

    例えば、原価の場合は課税売上に直接対応するものですから、基本的には原価の勘定科目は課税売上に対応するものと判断できます。次に販売管理費の場合は、その事業の業種によって、課税売上にのみ対応するものが異なりますから、課税売上に対応するものがあるか科目ごとに検討する必要性が生じます。車両費では、商品を売るためのガソリン代等は当然、課税売上に対応するものと判断できますし、一方で本部、本社管理部門におけるガソリン代等は課税売上にのみ対応しているわけではないので、仕入共通となります。同じように資産においても、工場、営業所等に係る資産であれば、課税売上に対応するもの、本社に係る資産であれば、仕入共通となります。尚、具体的事例については、国税庁にある消費税改正のQ&A(PDF注意!)を参考にして頂ければと思います。

    次に、期末の消費税の仕訳ですが、今回個別対応方式又は一括比例配分方式を用いることで、ひききれない消費税額(控除対象外消費税額)が生じると述べました。その控除対象外消費税は法人税法上、損金算入することが出来るので、期末時に費用に振り返るかもしくは申告調整にて減算処理する必要性が生じます。※尚、資産に係る控除対象外消費税等のみ”課税売上割合が80%以上である場合”且つ”損金経理”が条件とされている為、資産については申告調整は出来ないこととなっております。費用、損失に係る控除対象外消費税額については減算処理が可能となります。まあ、要するに損金経理すればいいよということですね。

    控除対象外消費税の求め方ですが、「従来通り全額仕入控除出来た場合の控除税額-個別対応方式に則って試算した仕入控除税額=控除対象外消費税等」となります。この差分がひききれない消費税というわけです。見方を変えると、個別対応方式では、「仕入共通に係る消費税額×(1-課税売上割合)+非課税売上にのみ対応する消費税額=控除対象外消費税額」ともいえますね。

    では、具体的な数字でやってみましょう。課税仕入等の税込金額が100,000,000円、その内、①課税売上対応分が税込80,000,000円、②仕入共通分が税込10,000,000円、③非課税売上対応分が税込10,000,000円とします。尚、課税売上割合は96%とします。
    ①は全額仕入控除できる為、80,000,000×4/105=3,047,619円、②は課税売上割合で按分する為、10,000,000円×4/105×96%=365,714円③は仕入控除できない為、全額控除対象外消費税額となります。10,000,000×4/105=380,952円
    よって、仕入控除税額は①+②=3,413,333円となり、控除対象外消費税額は②のひききれない分(380,952-365,714=15,238)+③=396,190円となります。

    他に注意する点としては、消費税区分上、課税仕入として処理していたが、実際の取引内容が”値引き、返品、割戻し等“であり、あるべき消費税区分が”課税売上の対価の返還等”であった場合などは“課税売上の対価の返還等”に区分しておかないと余計に納税額が増えてしまうケースがあります。こういった”値引き、返品、割戻し等”の消費税区分が徹底されていないケースをよくみかけます。とりわけ、卸売業などは商慣習としてこういった取引が多いですので注意が必要かと思います。

    尚、一括比例配分方式についてですが、「課税仕入れに係る消費税額×課税売上割合=仕入控除税額」となる為、事務負担があまりないというメリットはありますが、一般的に個別対応方式と比べると税負担が重いことと、2年間の継続適用が要件とされていることもあり(今期だけではなく、来期以降のタックスプランを見越した上で判断する必要性があります)、今回の課税売上高5億円超の消費税額の計算においては実務ではあまり適用されないのではないかと思います。適用理由としてもしあるとしたら、”事務負担が軽い”からですかね。もしくは課税売上割合が高くて、個別対応方式よりも有利だった場合でしょうか。

    以上になります。次回は消費税に対する法人税法上の注意点に書いてみたいと思います。

    ※実務における消費税の課税判断を悩ましそうなところが網羅されている。値段は張るがそれだけの価値はある。オススメです。

    実務家のための消費税実例回答集

    実務家のための消費税実例回答集

    posted with amazlet at 13.05.03

    税務研究会出版局
    売り上げランキング: 97,305

    ※個別対応方式を選択するなら手にとってみるのもいいかもしれない。

    経理担当者のための消費税「個別対応方式」適用ガイド
    中央経済社
    売り上げランキング: 85,285

    ※個別対応方式を選択するなら手にとってみるのもいいかもしれない。

    消費税 仕入税額控除 個別対応方式 実践トレーニング
    渡辺 章
    中央経済社
    売り上げランキング: 442,881

    ※判断に悩む事例をコンパクトにまとめた一冊。手元にあると便利。

    消費税実務問答集〈平成24年10月改訂〉

    消費税実務問答集〈平成24年10月改訂〉

    posted with amazlet at 13.05.03

    清文社
    売り上げランキング: 461,320

    Read More

    特定支出控除について

    平成25年分の所得税から、特定支出控除の制度が改正されました。
    サラリーマンなどの給与所得者は実務的には必要経費の算定が困難とされていることもあり、給与収入金額(要するに年収です)を元に控除金額を算定することで所得金額がいくらであるか、年間の所得税がいくらになるかを算定していました。要するに収入をベースに概算で経費を算定していたわけです(実際には会社や社労士等が代行)。
    それに対し、特定支出控除という制度は、言ってみれば給与所得者に対しても必要経費の概念を導入したものになります。この制度では、給与所得者に対しても、特定の支出については給与所得から経費として控除できるという制度です。実は今までもこの制度自体はあったのですが、全国で数件しか毎年利用されないという非常に使い勝手が悪い制度でした。それもあって今回改正されたようです。

    主な改正点としては、①特定支出の範囲の拡大、②適用判定の基準の見直しがあります。
    まず、①についてですが、従来は

  • 通勤費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • に限定されており、尚且つ、ここが大事なところですが、給与の支払者(要するに事業主)が証明したものに限られておりました。

    今回の改正点では、従来に加えて、

  • 弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
  • 勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)※ただし65万円を上限とする
  • の2点が追加されました。ただし、従来同様、給与支払者の証明が必要となっております。詳細については、こちら(PDFです)をご参考ください。

    次に②ですが、従来は特定支出の合計額が給与所得の控除額の全額を越えた金額のみを特定支出控除として控除することが出来ました。例えば、給与所得控除額が100万で、特定支出の合計額が120万円だったとすると、差額20万円分を追加で控除できたということになります。

    今回の改正では、特定支出の合計額が給与所得控除額×1/2を越えた金額を特定支出控除として控除できるようになりました。先ほどの例で言うと、給与所得控除額が100万円の場合、1/2の金額が上限となりますから、50万円を越えた金額となり、差額の70万円分を追加で控除できることになります。

    というわけで、従来と比べると、少しは使い勝手がよくなったようには思います。なお、実際にご利用を検討している方はご自身の年収がいくらぐらいになるかをざっくりでいいので計算した上で、給与所得控除額×1/2よりも特定支出の合計額が越えそうかどうかの検討を事前にしておくべきと思います。私自身、経験はないですが、恐らくですが、特定支出の合計額を集計するという行為にかなり時間をとられるのではないかと思います。又、先ほども書いたように給与支払者の証明が必要な点実際に支出した際の領収書を提出しなければいけない点が厄介な点ではないでしょうか。

    以上をふまえた上でやるメリットがあるかどうか検討する必要があるかなと思います。

    給与所得者・給与支払者のための特定支出控除の手引

    Read More

    小企業の経営指標の使い方

    Income tax

    Originally uploaded by Alan Cleaver.


    経営指標というと、難しく感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実務的な手続きとしては、期末時の貸借対照表、損益計算書の数字から抽出して、計算式で数値を算出しているに過ぎないので、決して難しい作業ではありません。注意すべきところとしては、参考にすべき同業他社の指標の選択の仕方であったり、自身の会社の特殊事情を考慮することが挙げられます。ここを間違えてしまうと、全く参考にならない指標となり、ただの数字遊びとなってしまいます。それと、これをいってはなんですが、指標を鵜呑みにしすぎないということも大事だったりします。あくまで決算時点の数字ですので、企業によっては税金を多く払いたくないが為に意図的に赤字にしたという場合もありますし、各企業によって会計処理が異なるというのもあります(会計における恣意性は完全には排除出来ない)。なので、あくまで参考程度にとどめておくことですね。具体的な経営指標の項目と算式についてはこちらを参考にして下さい。

    又、経営指標をどう活用すればいいのかといった話ですが、①同業他社と自社との比較をすることで、単なる聞き取りによるSWOT分析ではなく、自社の強み、弱みを数字から把握できる→改善すべき事項が”なんとなく”ではなく明示的にしやすい
    ②開業及び新規事業をする上で、大よそ該当するであろう業種の特徴を把握できる。要するに事業としてイケるかどうかが掴めるといったことが挙げられるかと思います。

    では、具体的に指標を見てみましょう。まず政策公庫の小企業の経営調査を元に同業他社の経営指標を確認します。政策公庫の経営指標ではまず大分類で区分わけされていおり、その内、従業員規模別に区分された指標があります。該当する業種で従業員規模別があれば、そちらを参考にしましょう。

    例として、飲食店・宿泊業に分類されている”喫茶店”をみてみましょう。
    喫茶店の主な項目(平均値)としては、

  • 売上高総利益率:69.8%
  • 売上高営業利益率:-4.0
  • 従業員一人当たり売上高:10,789千円
  • 1客席当たり売上高:806千円
  • 当座比率:60.3%
  • 標本数:90社
  • 黒字且つ自己資本プラス企業数では、

  • 売上高総利益率:71.4%
  • 売上高営業利益率:2.4%
  • 従業員一人当たり売上高:14,533千円
  • 1客席当たり売上高:1,086千円
  • 当座比率:75.0%
  • 標本数:17社
  • となっています。

    ここからいえることは、まず粗利率はほぼ差異がないが、営業利益率では黒字企業とは差異がみられる。売上に比べて、人件費、販売管理費が多いところは赤字となっている→人件費は適正か、販売管理費で無駄な出費はないか。
    第二に、従業員一人当たり売上高では黒字企業の方が大きいことからも、黒字企業の方が生産性が高いといえる→赤字企業は適正人員ではないのではないか。
    第三に、1客席当たり売上高をみると、黒字企業の方が大きいことからも、黒字企業の方が客単価が高いといえる。又、標準偏差が大きいことから各喫茶店によって、客単価はまちまちであるといえるのではないか→その喫茶店のコンセプトによって違うのでは?とにかく単価は安くとも回転率を上げることで売上をあげるところもあれば、単価を高く設定しているところもあるのではないか。
    最後に、当座比率については標準偏差が大きいことからもあまり参考にすべき指標とはいえないのではないか→そもそも喫茶店の場合は現金商売であり、手持ちの現預金が各々で全く異なることが予想される為、安全性の指標としては当てに出来ないのではないか。

    といった感じです。経営指標を持ちいてこういった推測をした後に改めて自社のB/S、P/Lの各項目を検証することで、より具体的な改善点、施策が浮かび上がってくるのではないかと思います。又、新規事業、開業時の場合は、とにかく標準偏差が大きいかどうかをみるとよいと思います。例えば、黒字且つ自己資本プラス企業と比較して営業利益率に差異がなく、尚且つ標準偏差が小さいとしたら、その業種はかなりの確度で事業を起こした場合、似たような数値になると見なすことが出来ます(もちろん確実にそうなるとは限りませんが!)。

    以上になりますー。

    ※小企業よりかは中企業を対象にした指標になります。

    中小企業実態基本調査に基づく経営・原価指標 平成24年発行

    中小企業実態基本調査に基づく経営・原価指標 平成24年発行

    posted with amazlet at 13.05.12

    同友館
    売り上げランキング: 132,778

    ※業種別の特性を掻い摘んで掴む上では便利かも。市場調査の一環として購入するのも悪くはない。

    最新業種別審査小事典〈上巻〉

    最新業種別審査小事典〈上巻〉

    posted with amazlet at 13.05.12

    銀行研修社
    売り上げランキング: 997,369

    ※詳細な業種別審査辞典。大多数の業種は網羅されているといっても過言ではない。

    第12次業種別審査事典〈第5巻〉機械器具(一般、電気・電子、通信、精密、輸送)

    第12次業種別審査事典〈第5巻〉機械器具(一般、電気・電子、通信、精密、輸送)

    posted with amazlet at 13.05.12

    きんざい
    売り上げランキング: 424,580

    Read More