平成25年分の所得税から、特定支出控除の制度が改正されました。
サラリーマンなどの給与所得者は実務的には必要経費の算定が困難とされていることもあり、給与収入金額(要するに年収です)を元に控除金額を算定することで所得金額がいくらであるか、年間の所得税がいくらになるかを算定していました。要するに収入をベースに概算で経費を算定していたわけです(実際には会社や社労士等が代行)。
それに対し、特定支出控除という制度は、言ってみれば給与所得者に対しても必要経費の概念を導入したものになります。この制度では、給与所得者に対しても、特定の支出については給与所得から経費として控除できるという制度です。実は今までもこの制度自体はあったのですが、全国で数件しか毎年利用されないという非常に使い勝手が悪い制度でした。それもあって今回改正されたようです。
主な改正点としては、①特定支出の範囲の拡大、②適用判定の基準の見直しがあります。
まず、①についてですが、従来は
に限定されており、尚且つ、ここが大事なところですが、給与の支払者(要するに事業主)が証明したものに限られておりました。
今回の改正点では、従来に加えて、
の2点が追加されました。ただし、従来同様、給与支払者の証明が必要となっております。詳細については、こちら(PDFです)をご参考ください。
次に②ですが、従来は特定支出の合計額が給与所得の控除額の全額を越えた金額のみを特定支出控除として控除することが出来ました。例えば、給与所得控除額が100万で、特定支出の合計額が120万円だったとすると、差額20万円分を追加で控除できたということになります。
今回の改正では、特定支出の合計額が給与所得控除額×1/2を越えた金額を特定支出控除として控除できるようになりました。先ほどの例で言うと、給与所得控除額が100万円の場合、1/2の金額が上限となりますから、50万円を越えた金額となり、差額の70万円分を追加で控除できることになります。
というわけで、従来と比べると、少しは使い勝手がよくなったようには思います。なお、実際にご利用を検討している方はご自身の年収がいくらぐらいになるかをざっくりでいいので計算した上で、給与所得控除額×1/2よりも特定支出の合計額が越えそうかどうかの検討を事前にしておくべきと思います。私自身、経験はないですが、恐らくですが、特定支出の合計額を集計するという行為にかなり時間をとられるのではないかと思います。又、先ほども書いたように給与支払者の証明が必要な点と実際に支出した際の領収書を提出しなければいけない点が厄介な点ではないでしょうか。
以上をふまえた上でやるメリットがあるかどうか検討する必要があるかなと思います。