コンピュータ、映画、音楽と3つの産業に革命を起こしたスティーブ・ジョブズの半生を描いた非公認ノンフィクション本。
Apple設立に始まり、pixar社買収、itunes,ipodブームまでに至る道程はとんでもなく波乱万丈で、なかなか常人には理解し難いエキセントリックなエピソード満載でかなり楽しめる作品。ただ、実際は楽しんで!というよりは「壮絶」の一言が一番似合っているけれど。ジョブス自身、何もかも思い通りにはうまくいってはいない。寧ろ、8割が大失敗で残り2割くらいが辛うじて成功したといえるんじゃないかな。もちろん、それら一連の結果は偶然の産物かと言えばそうではなくて、全てはジョブズの強く熱い決して折れない意志が良くも悪くも周囲を動かし引き寄せたものなのだと思う。ただただ、その過程は激しく「矛盾」に満ちていて僕のような凡人には理解し難い。何故そこまで強く熱い意志を保ち続けられるのかと。何故そこまでデザインに拘るのかと。最後に本書を読んで気に入ったフレーズを引用したいと思います。
「デザインというのは面白い言葉だ。外観のことだと思う人もいる。本当はもっと深いもの、
その製品がどのように動くかということなんだ。いいデザインをしようと思えば、まず『真に理解する』必要がある。それが何なのか。心で掴む必要があるんだ」「何かを真に理解するためには、全身全霊で打ち込む必要がある……そこまでのことをする人は滅多にいない」
「失敗を恐れずトライする限り、アーティストなんだ。ディランもピカソもチャレンジし続けた人物だ。」
「僕にとってはアップルの件がそうだったんだ。もちろん、失敗なんかしたくないさ。アップルがどれほどひどい状況にあるのかは、知らなかったけど、それでも(実権のない特別顧問としてであれ、アップルに戻る事に)『イエス』と言う前に考えなければならないことが山ほどあった。家族への影響や、自分に対する世の中の評価への影響なんかもね。でも結局、そんなことはどうでもいいことに気付いたんだ。だって、
これこそが、自分がやりたいことだったんだから。ベストを尽くして失敗したら…ベストを尽くしたってことさ。」