「なぜローカル経済から日本は甦るのか-GとLの経済成長戦略-」を読了。
グローバル経済圏とローカル経済圏を分けて、現状と今後の経済成長について書かれた一冊。
著者がローカル経済圏の事業再生案件を携わっていることもあり、ローカル経済圏の現状についても絵空事ではなく、しっかりと現状を認識しているのが印象的であった。以下、気になったところをメモ。
貸出先の基準は事業。B/SよりもP/Lが大事。負債は金融機関が泣いてくれれば解決する。事業そのものの問題は金融機関では解決しない。再生における問題の本質はP/Lである。
極端な話にも聞こえるけど、本質をついている。金融機関は確かに”債権”をどうやって回収するかに着目しがちだけれど、本質は”事業”なんだと。例え、会社分割などで債権放棄したとしても、本業さえよければ後で融資する機会もあるだろうしね。
多能工化→労働生産性の向上、アイドルタイムをなくす。部屋の稼働率、一部屋当たりの収入増、各料理の消費量の確認→原価低減と満足度調査を徹底。
外部からみて、生産性の向上とコスト削減、顧客満足を徹底。やるべきことを只管やる。加えて定量的、定性的なPDCAの徹底
ローカル経済圏は地域自体、集約化による生産性向上を目指す。具体的には病院、介護事業などで、非営利ホールディングスカンパニー制を導入する。ローカル経済圏は地域の中だけで人が動くため、全国的な水平統合モデルよりも垂直統合モデルの方が効率的。垂直統合モデルの導入により、情報の共有、一括管理が可能になる。
病院はそもそも国立、個人事業で全く採算が異なるので、とりわけ個人事業主側にメリットがあるかはわからないけど、国立ならその選択肢は妥当だと思う。こういった垂直統合モデルは売上増に結びつくかはわからないけど、コスト削減はできると思われる。その地域内で一番店、寡占するといった感じかな。
労働生産性が高いほど、賃金を高くすることもできるし、雇用も安定化する。
一見、高収益でも低い労働生産性の企業はブラック化に伴う労働搾取で利益を上げている。そういうやり方は事故やトラブルで倒産に追い込まれるか。今後の人手不足時代においては人件費倒産の危機にさらされる。
人件費は”コスト”とみなさない事が大事。コストではあるが、売り上げを生み出す”投資”と寧ろみなすべきのかも。人手不足が常態化するであろう今後はいかに人に投資できるか、人を大切にできる会社のみが生き残る。コストとみなして利益を上げても、会社にとってはいいかもしれないが、一個人にとっては不幸であり、もっと大きな視点で言えば、若年層の低所得者の増大は消費の減少、人口減少にも結び付く。中小企業のトップはそこまで考える余裕はないかもしれないけど、大事なことだと思う。
PHP研究所
売り上げランキング: 1,261