龍時

本格派のサッカー小説。01-02は下部組織→トップへの軌跡を中心に、02-03はトップリーグでの連戦模様を中心に描いている。基本的にサッカーに興味がある人なら楽しめると思う。
+実際にサッカー経験者(経験が濃いものであればあるほど)なら、自分に置き換えて読み込むことも可能かもしれない。
残念ながら、僕はサッカー部に所属していたわけではないので詳細な試合風景についての記述にのめりこめたかといえば、正直、そうでもない。
寧ろ、途中途中のスペインリーグの過去の話などのウンチク話なんかの方が興味津々だったような気もする。…とはいいつつも、読むことがきついというわけではなく、全体的によく出来たスポーツ小説だとは思う。
特に01-02の下部組織→トップ昇格での強烈なまでの競争意識、普通の10代では経験し得ない壮絶な環境、そして、そこでの主人公の悩みであったり、人間模様の描き方は素晴らしいの一言。
およそ、僕のような平凡な人間では経験し得ないような世界だなと溜息が出る次第だ。  
そういえば、サッカー解説者の風間さんが何かの雑誌で「スポーツの世界はドラゴンボールのようなものだ」と語っているのを見かけた事がある。その先が永遠じゃないかと錯覚するほどに、ステップアップする度に、必ずその上をいく人がいる。「上には上がいる」を地でいく世界がスポーツなんだと説いていたような…。
僕がそれを100%理解できてるかといえば大いに疑問だけれど、確かにそうだと思う。
常に競争。常に孫悟空のように勝たなければならない。勝利できない奴は去るのみ。
過酷な競争社会だ。01-02、02-03ともにそういったスポーツの厳しさを描いた作品でもあるわけで…。
我々凡人はそういった厳しい競争を潜り抜けた末の「栄光」に辿り着けない代わりに「娯楽」としてスポーツを捉える、嗜むことが許されているのかもしれないなとも思った。それにしても、サッカーでも野球でもバスケでもなんでもいいのだけども、この世で一番というのはどんな気分なんだろうか?

龍時 01-02 文春文庫
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SWEETSIXTEEN

自分が16歳の時って、どうだったかなあ?と胸に手を当ててみて考える。
やる気なかったなぁ。遅刻しまくってたなぁ。あまり人と交流をとらなかったなぁ。ちょっと盛りではあったなぁ。精神的に病んでたなぁ。学校サボリがちだったなぁ。授業寝てばかりだったなぁ。全く勉強しなかったなぁ。 思いつく限り挙げてみてこんなもんかな?
今思えば、物凄い不安定な状態だったような。まあ、16歳の時って、みんなそんなもんかな?もちろん、悩むところは人それぞれだろうけどね。

さて、書き出しから推測されたかもしれないが、SWEETSIXTEENの主人公リアムも同じように不安を抱えた一人だ。イギリスの過酷な労働者階級の環 境に生まれ育ち、一人悩み、決して周囲に寂しさを見せないで、強がって、仲間と馬鹿やって、、そんなどこにでもいるような少年だ。ただ、彼は人よりも愛されるという体験が欠けていた。
ずっと、ずっと、愛に飢えていたのだ―なぜって?長い間、母親と一緒に暮らしてないから。
実際は他にも理由は存在するのだ が。。それは見てのお楽しみということで。

話が少しそれた。ともかく、愛に飢えていた彼の胸には秘めたる思いがずっとあった。
それは”母親と一緒に、家族団らんな生活を送るということ” 寂しさから解放されたい、愛されたい―その思いを胸に彼はひたすら動く。
ありとあらゆる手段を使って、まい進し続ける。
果たしてリアムの行き着く先には何 が待ち受けるのか―
主演のマーティン・コムストンは全くの新人。
でも、演技力は新人じゃないね(笑)。ベテランの域といってもいいくらいにうまい。
特に感情表現。言葉に全く 頼ってなくて、全身から感じ取れる何かが一つ一つの動きにあるんだよね…なんと表現したらいいんだろう?魂の演技というか。。
とにかく、素晴らしい演技! ここ最近見た中ではトップクラスの評価。何回も見たいとは決して思わないけど、見たことを後悔する人はいないと思う。
出来れば、レンタルビデオじゃなくて 劇場で見たかったな…。

SWEET SIXTEEN [DVD]

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「’64-’95」LemonJelly

以前にもよそで書きましたが、LemonJellyは解散したsupercar(後期)にどことなく似てるような気がします。「音が」というのもありますし、「空気感」もなんか似た印象を受けるんですよね。
中でも「’64-’95」は、「futurama」の纏まり具合そのままな作りで、いい意味で「futurama」と同様に何かぬけた曲がないところなんかそっくりではないかと…。
いや、これいい意味でいってるんですよ?それに加えて、初回限定盤 はなんとPV集(DVD)つき!!
また、このPV集がかなりセンスよさげでして、ファンにとって生唾ものかも。普通にCDと切り離しても十分売れそう出来栄えなんですよねぇ。
とにかく凝ったつくりで、芸術的で、尖ったムービーには圧倒されること間違いないはずです!
流石はクリエイティブセンス抜群*1な LemonJellyといったところですかねぇ。

*1Lemonjellyはニック・フラングリンとフレッド・ディーキンというマルチな才能を持った二人。ニックはCM制作も手掛けるプログラマーであ り、また庭の設計士でもある。フレッドはクラブのオーナー兼DJであり、デザイン事務所「Airside」のオーナー兼トップデザイナーでもある。

’64-’95

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「ZAMA」imai

電子音楽、ゲーム音楽をポップに、それでいて、よりエレクトロニカちっくに。
imaiの2ndアルバムはそんな作品なのではないかと思います。
似たアーチストを挙げるならば、aphextwin、Chris Clarkですかね?
全体の感想としては、捨て曲がなくて、綺麗にまとまっていて、それでいて一つ一つの曲にインパクトがあって…という印象。
お世辞ですか!?とか、相反する感想を並列に述べてて意味不明なんですが!とか言われそうですが、いや、本当にそれが僕の感想なんですよね。
信じられないかもしれないですが。ともかく、音がシンプル。それでいてちょっとした心地よさを感じられる!というのがimaiの良さというか、強みではないかなと個人的に思います。
オススメは「Stop of noon」、3曲目の「1995」。
WARP、reflex、romzrecord、19頭身辺りのアーチストが好きな人ならかなりの高確率で気に入るのではないかと思います。

ZAMA

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プロ論2

所謂、自己啓発ちっくな本。その道の最先端を突っ走るプロによるメッセージがずらり。
各々のエピソードのボリューム自体はそこまで多くは無く、非常にコンパクトにまとめられている印象が強い。なので、比較的気楽に読めるのではないかと思う(時間で言えば一時間もかからないかな?)。
読んでて強く感じたのは、全く分野が異なる人のインタビューを集めたはずなのに信じられないくらいに共通項があるということか。もしかしたら、単なる焼き直しの作品を集めただけなのでは?と勘違いする人もいるかもしれない。だけども、それは間違いであって、その共通項こそが最も本書で伝えたいことなのではないかと個人的にかんぐってみた。もちろん、各々の発っする言葉のニュアンスや意図は微妙に異なっているはずなので、一概にはここが共通している!とは簡単には結論づけはできないけどね。。
何はともわれ、典型的な自己啓発本なのでモチベ落下中な人にとってはオススメかもしれないです。
でも、立ち読みでも十分間に合います (笑)。←営業妨害中

プロ論。2

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かもめのジョナサン

何でも海外で絶賛された本だそうで、ヒッピーのバイブルだったそうな。
そのせいか、日本人の僕は少し違和感を覚えた。ただ、確かに本書には人に訴える何かがあるとは思う。
一般のかもめのように餌を求めのうのうと生きていくか、それともかもめのジョナサンのように、鳥として、最も速く飛ぶことを追い求めるか―多くの人がきっとかもめの話としてではなく、自身を投影させて、自分の人生はどうか?―と思ったのではないだろうか。
ただ、実際にはそんな単純ではないし、ひとつをとり、他全てを捨てていくなどなかなか出来ないだろう。
また、解説の五木寛之さんが述べているように、「食」がそんなに卑下する存在だといえるのかといった疑問もある。ともわれ、吹っ切れない何か、もやもや感を抱いている人にとってはいい刺激になるかもしれない。

かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

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