生産性向上設備投資促進税制(A類型)の対象商品について

平成26年1月より適用となった生産性向上設備投資促進税制(A類型)の対象商品についてまとめ。

まず、はじめに税制の簡単な概要について。
当税制は平成26年1月~平成28年3月末日までは即時償却又は取得価額の5%税額控除が適用できる
平成28年4月~平成29年3月末日までは50%特別償却又は取得価額4%税額控除が適用できる
利用対象者は青色申告法人となっている。
A類型に関しては、最新モデルであることと、生産性が1%以上向上していることが要件となります。→これについては工業会からの証明書がでるかで判断可能
取得価額要件としては、
○機械装置:160万円以上
○工具及び器具備品:120万円以上
○建物:120万円以上
○建物付属設備:120万円以上
○ソフトウェア:70万円以上
※1ただし、機械装置以外は一部の設備のみ対象となります。
※2中小企業に関しては、中小企業投資促進税制の上乗せ措置が適用できます→こちらの方が有利になります
この税制を活用することで、得意先の節税対策にもなりますし、加えて、価格勝負に巻き込まれない、仕入れ先にとっても得意先にとってもメリットがある一石二鳥な提案が可能になります!

例えば、償却前利益が200万円だとして、160万円の機械装置を取得した場合。普通償却費は10万円
即時償却では二つの会計処理方法があります。因みに即時償却は翌期以降の損益の影響を及ぼしはしないですが、あくまで“課税の繰り延べ”であり、通年でみると税額が減るわけではありません。

①直接減額方式
中小企業向けであり、メリットとしては会計処理及び税務処理が簡易なことが挙げられますが、デメリットとしては、期間損益計算がなされているわけではないので、会計上適正とは言い難く、自己資本比率等の悪化が伴います。

減価償却費100,000/機械装置100,000
特別償却費1,500,000/機械装置1,500,000
償却前利益2,000,000-1,600,000=400,000(課税所得)
400,000×40%=160,000(税額)

②準備金方式
メリットとしては、企業会計上適正であり、期間損益計算がなされているということが挙げられますが、デメリットとしては、会計、税務処理が長期にわたり煩雑なことが挙げられます。

減価償却費100,000/機械装置100,000
繰越利益剰余金1,500,000/特別償却準備金1,500,000※別表4にて減算処理必要
同じく課税所得400,000×40%=160,000(税額)

※税効果会計適用の場合
減価償却費100,000/機械装置100,000
繰越利益剰余金900,000/特別償却準備金900,000
法人税等調整額600,000/繰延税金負債600,000
償却前利益2,000,000-100,000-600,000=1,300,000
1,300,000-1,500,000(減算)+600,000(加算)=400,000(課税所得)
400,000×40%=160,000(税額)

税額控除の場合は減価償却が耐用年数通りに償却される為、来期以降の損益にも影響がありますが、税額を直接控除でき、税金の“値引き”の効果といえます。

減価償却費100,000/機械装置100,000
2,000,000-100,000=1,900,000(課税所得)
1,900,000×40%=760,000(税額)
1,600,000(取得価額)×5%=80,000(税額控除)
760,000-80,000=680,000

以上を踏まえた上で該当する商品を会社ウェブサイトにて掲載しているサイトをまとめました。ざっくり見た感じた印象で言いますと、やはり大手メーカーさんは税務メリットもわかりやすく説明されているように感じますね。。

リコー→節税試算などの説明あり

パナソニック→LEDやらエアコンやら

ロボットやら

アイリスオーヤマ→LED

CADやら

日本サーエモナー→ボイラー

パナソニック産機システムズ

ヤンマー

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電子帳簿保存法改正2015

iPhone 02

平成27年税制改正の大綱にてスキャナ保存制度の改正(PDF注意!)がなされたことにより、帳簿書類の電子化がより一層進むと思われる。因みに現行の電子帳簿保存法では、

  • ×国税関係帳簿:仕訳日記帳、総勘定元帳等の電子化は不可
  • ×国税関係書類:貸借対照表、損益計算書、在庫表など決算書類は不可
  • ○国税関係書類:契約書、領収書で3万円未満は可※
  • ○国税関係書類:請求書、納品書、見積書、発注書は可
  • 以上により、契約書等3万円未満、請求書等のみがスキャナ対象とされていました。また、スキャン時の処理についても

  • 200dpi以上のカラー画像のスキャニング
  • カラー保存※
  • 検索機能法の確保
  • 国税関係書類との検索性の確保
  • システム関係書類の備えづけ
  • 電子署名、タイムスタンプ、ヴァージョン管理※
  • などが要件とされていました。その上、スキャナ保存開始日より3か月前に税務署に申請することが義務付けられていました。

    今回の税制改正の大綱では、

  • ○国税関係書類:契約書、領収書で3万円以上も可
  • 保存形式が白黒でも可
  • 書類の大きさに関する情報が不要となった
  • タイムスタンプとともに入力者に関する情報の保存が必要となった
  • その上で、①相互けん制②定期的なチェック③再発防止策などの整備をするとともに、社内規程等を整備した上での事務処理が申請要件となるようです。

    大きな改正点としては、契約書、領収書で3万円以上のスキャナ保存の対象となったことでしょうか。これにより大多数の国税関係書類の電子保存が可能となります。

    さて、想定される具体的なメリットデメリットとしては、

  • ○帳簿書類の保管費、本支店間の運送料のコスト削減
  • ○検索機能による事務作業のスリム化
  • ○紛失リスク、保管作業の減少
  • ○電子化によるデータ入力の自動化など積算作業の効率化
  • ○税務調査時の対応などの効率化
  • ×スキャニングの要件などの厳格さ
  • ×システム担当の負担増
  • などなどでしょうか。基本的にメリットの方が多そうですが、やはり現状はスマホカメラでのスキャニングが許可されていないという点がネックであるようにも思います。現状だとスキャニングの作業自体が煩雑なのではないかなと。後、27年の9月から改正が適用されるとのことですが、現状別件でのシステム案件の整備が手一杯ですし、地方で適用できるようになるのはも少し先の話になるのかなーと思う次第です。何はともあれ、これ以上の電子帳簿の保存が緩和されることを願う次第です。

    参考url一覧

  • 平成27年度税制改正の大綱
  • 財布の中の領収書とおさらばする―電子帳簿保存法改正の動きとコンカーの取り組み
  • 税務関係書類のスキャナ保存要件の大幅な規制緩和に関する情報
  • 電子帳簿保存法について
  • Read More

    課税売上高5億円超の仕入れ控除額の計算方法における実務について

    さて、3月決算真っ盛りの今日この頃ですがいかがお過ごすでしょうか。
    今回取り上げる話題はH25/3月決算から適用となる消費税法改正の件となります。いわゆる課税売上高5億円超の仕入れ控除額の計算方法についてですね。

    まず、今までは課税売上割合が95%以上であれば、課税仕入れに関わる消費税額は全額仕入れ控除の対象とすることができましたが、今回の改正により課税売上が5億円超の場合は、課税売上割合が95%以上であっても全額仕入れ控除額の対象とすることはできなくなりました。その場合の計算方法としては、従来からありました個別対応方式一括比例配分方式のいずれかで計算することとなりました。この二つの方式が今までと何が異なるかというと、一言で言うと、消費税額の内、”ひききれない消費税(いわゆる、控除対象外消費税)が生じる”ということになります。

    個別対応方式、一括比例配分方式は従来からある計算方法ではありますが、大多数の企業は課税売上割合が95%以上であり、全額仕入れ控除税額の対象とすることが出来ていたため、先の個別対応方式、一括比例配分方式のおけるノウハウははっきりいってないのではないかと思います。その為、今回の3月決算において想定以上に消費税の検討及び修正等に時間が取られてしまうといったことが予想されます。というか、大企業であればあるほど、事前に消費税の区分を抑えておかないとそれこそ取り返しのつかないことになるのかなと。

    そこで、今回は個別対応方式について書いてみようと思います。個別対応方式ですが、計算式としては「課税売上対応分に係る消費税額+仕入共通分に対応する消費税額×課税売上割合=仕入控除税額」となります。その為、今までと違って、消費税区分を①課税売上にのみ対応する仕入、支払②課税売上、非課税売上に共通対応の仕入、支払③非課税売上のみに対応する仕入、支払と区分わけする必要が生じます。これが判断に悩む部分でして、まず大前提となる判断基準としては、“課税売上にのみ直接対応しているもの”と判断できる場合しか課税売上にのみ対応する仕入、支払とすることができないよ!ということです。逆に考えると、課税売上、非課税売上、どちらにも対応してそうだなーと思われるグレーなライン、判断がつきにくいものについては、基本的には”仕入共通”とするのが無難かと思います。また、”非課税売上にのみ対応する仕入”については、借り上社宅等の支払いなど、該当する支払いが限られていますので事前に抑えておくのも一つの手かと思います。

    例えば、原価の場合は課税売上に直接対応するものですから、基本的には原価の勘定科目は課税売上に対応するものと判断できます。次に販売管理費の場合は、その事業の業種によって、課税売上にのみ対応するものが異なりますから、課税売上に対応するものがあるか科目ごとに検討する必要性が生じます。車両費では、商品を売るためのガソリン代等は当然、課税売上に対応するものと判断できますし、一方で本部、本社管理部門におけるガソリン代等は課税売上にのみ対応しているわけではないので、仕入共通となります。同じように資産においても、工場、営業所等に係る資産であれば、課税売上に対応するもの、本社に係る資産であれば、仕入共通となります。尚、具体的事例については、国税庁にある消費税改正のQ&A(PDF注意!)を参考にして頂ければと思います。

    次に、期末の消費税の仕訳ですが、今回個別対応方式又は一括比例配分方式を用いることで、ひききれない消費税額(控除対象外消費税額)が生じると述べました。その控除対象外消費税は法人税法上、損金算入することが出来るので、期末時に費用に振り返るかもしくは申告調整にて減算処理する必要性が生じます。※尚、資産に係る控除対象外消費税等のみ”課税売上割合が80%以上である場合”且つ”損金経理”が条件とされている為、資産については申告調整は出来ないこととなっております。費用、損失に係る控除対象外消費税額については減算処理が可能となります。まあ、要するに損金経理すればいいよということですね。

    控除対象外消費税の求め方ですが、「従来通り全額仕入控除出来た場合の控除税額-個別対応方式に則って試算した仕入控除税額=控除対象外消費税等」となります。この差分がひききれない消費税というわけです。見方を変えると、個別対応方式では、「仕入共通に係る消費税額×(1-課税売上割合)+非課税売上にのみ対応する消費税額=控除対象外消費税額」ともいえますね。

    では、具体的な数字でやってみましょう。課税仕入等の税込金額が100,000,000円、その内、①課税売上対応分が税込80,000,000円、②仕入共通分が税込10,000,000円、③非課税売上対応分が税込10,000,000円とします。尚、課税売上割合は96%とします。
    ①は全額仕入控除できる為、80,000,000×4/105=3,047,619円、②は課税売上割合で按分する為、10,000,000円×4/105×96%=365,714円③は仕入控除できない為、全額控除対象外消費税額となります。10,000,000×4/105=380,952円
    よって、仕入控除税額は①+②=3,413,333円となり、控除対象外消費税額は②のひききれない分(380,952-365,714=15,238)+③=396,190円となります。

    他に注意する点としては、消費税区分上、課税仕入として処理していたが、実際の取引内容が”値引き、返品、割戻し等“であり、あるべき消費税区分が”課税売上の対価の返還等”であった場合などは“課税売上の対価の返還等”に区分しておかないと余計に納税額が増えてしまうケースがあります。こういった”値引き、返品、割戻し等”の消費税区分が徹底されていないケースをよくみかけます。とりわけ、卸売業などは商慣習としてこういった取引が多いですので注意が必要かと思います。

    尚、一括比例配分方式についてですが、「課税仕入れに係る消費税額×課税売上割合=仕入控除税額」となる為、事務負担があまりないというメリットはありますが、一般的に個別対応方式と比べると税負担が重いことと、2年間の継続適用が要件とされていることもあり(今期だけではなく、来期以降のタックスプランを見越した上で判断する必要性があります)、今回の課税売上高5億円超の消費税額の計算においては実務ではあまり適用されないのではないかと思います。適用理由としてもしあるとしたら、”事務負担が軽い”からですかね。もしくは課税売上割合が高くて、個別対応方式よりも有利だった場合でしょうか。

    以上になります。次回は消費税に対する法人税法上の注意点に書いてみたいと思います。

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    特定支出控除について

    平成25年分の所得税から、特定支出控除の制度が改正されました。
    サラリーマンなどの給与所得者は実務的には必要経費の算定が困難とされていることもあり、給与収入金額(要するに年収です)を元に控除金額を算定することで所得金額がいくらであるか、年間の所得税がいくらになるかを算定していました。要するに収入をベースに概算で経費を算定していたわけです(実際には会社や社労士等が代行)。
    それに対し、特定支出控除という制度は、言ってみれば給与所得者に対しても必要経費の概念を導入したものになります。この制度では、給与所得者に対しても、特定の支出については給与所得から経費として控除できるという制度です。実は今までもこの制度自体はあったのですが、全国で数件しか毎年利用されないという非常に使い勝手が悪い制度でした。それもあって今回改正されたようです。

    主な改正点としては、①特定支出の範囲の拡大、②適用判定の基準の見直しがあります。
    まず、①についてですが、従来は

  • 通勤費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • に限定されており、尚且つ、ここが大事なところですが、給与の支払者(要するに事業主)が証明したものに限られておりました。

    今回の改正点では、従来に加えて、

  • 弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
  • 勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)※ただし65万円を上限とする
  • の2点が追加されました。ただし、従来同様、給与支払者の証明が必要となっております。詳細については、こちら(PDFです)をご参考ください。

    次に②ですが、従来は特定支出の合計額が給与所得の控除額の全額を越えた金額のみを特定支出控除として控除することが出来ました。例えば、給与所得控除額が100万で、特定支出の合計額が120万円だったとすると、差額20万円分を追加で控除できたということになります。

    今回の改正では、特定支出の合計額が給与所得控除額×1/2を越えた金額を特定支出控除として控除できるようになりました。先ほどの例で言うと、給与所得控除額が100万円の場合、1/2の金額が上限となりますから、50万円を越えた金額となり、差額の70万円分を追加で控除できることになります。

    というわけで、従来と比べると、少しは使い勝手がよくなったようには思います。なお、実際にご利用を検討している方はご自身の年収がいくらぐらいになるかをざっくりでいいので計算した上で、給与所得控除額×1/2よりも特定支出の合計額が越えそうかどうかの検討を事前にしておくべきと思います。私自身、経験はないですが、恐らくですが、特定支出の合計額を集計するという行為にかなり時間をとられるのではないかと思います。又、先ほども書いたように給与支払者の証明が必要な点実際に支出した際の領収書を提出しなければいけない点が厄介な点ではないでしょうか。

    以上をふまえた上でやるメリットがあるかどうか検討する必要があるかなと思います。

    給与所得者・給与支払者のための特定支出控除の手引

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    小企業の経営指標の使い方

    Income tax

    Originally uploaded by Alan Cleaver.


    経営指標というと、難しく感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実務的な手続きとしては、期末時の貸借対照表、損益計算書の数字から抽出して、計算式で数値を算出しているに過ぎないので、決して難しい作業ではありません。注意すべきところとしては、参考にすべき同業他社の指標の選択の仕方であったり、自身の会社の特殊事情を考慮することが挙げられます。ここを間違えてしまうと、全く参考にならない指標となり、ただの数字遊びとなってしまいます。それと、これをいってはなんですが、指標を鵜呑みにしすぎないということも大事だったりします。あくまで決算時点の数字ですので、企業によっては税金を多く払いたくないが為に意図的に赤字にしたという場合もありますし、各企業によって会計処理が異なるというのもあります(会計における恣意性は完全には排除出来ない)。なので、あくまで参考程度にとどめておくことですね。具体的な経営指標の項目と算式についてはこちらを参考にして下さい。

    又、経営指標をどう活用すればいいのかといった話ですが、①同業他社と自社との比較をすることで、単なる聞き取りによるSWOT分析ではなく、自社の強み、弱みを数字から把握できる→改善すべき事項が”なんとなく”ではなく明示的にしやすい
    ②開業及び新規事業をする上で、大よそ該当するであろう業種の特徴を把握できる。要するに事業としてイケるかどうかが掴めるといったことが挙げられるかと思います。

    では、具体的に指標を見てみましょう。まず政策公庫の小企業の経営調査を元に同業他社の経営指標を確認します。政策公庫の経営指標ではまず大分類で区分わけされていおり、その内、従業員規模別に区分された指標があります。該当する業種で従業員規模別があれば、そちらを参考にしましょう。

    例として、飲食店・宿泊業に分類されている”喫茶店”をみてみましょう。
    喫茶店の主な項目(平均値)としては、

  • 売上高総利益率:69.8%
  • 売上高営業利益率:-4.0
  • 従業員一人当たり売上高:10,789千円
  • 1客席当たり売上高:806千円
  • 当座比率:60.3%
  • 標本数:90社
  • 黒字且つ自己資本プラス企業数では、

  • 売上高総利益率:71.4%
  • 売上高営業利益率:2.4%
  • 従業員一人当たり売上高:14,533千円
  • 1客席当たり売上高:1,086千円
  • 当座比率:75.0%
  • 標本数:17社
  • となっています。

    ここからいえることは、まず粗利率はほぼ差異がないが、営業利益率では黒字企業とは差異がみられる。売上に比べて、人件費、販売管理費が多いところは赤字となっている→人件費は適正か、販売管理費で無駄な出費はないか。
    第二に、従業員一人当たり売上高では黒字企業の方が大きいことからも、黒字企業の方が生産性が高いといえる→赤字企業は適正人員ではないのではないか。
    第三に、1客席当たり売上高をみると、黒字企業の方が大きいことからも、黒字企業の方が客単価が高いといえる。又、標準偏差が大きいことから各喫茶店によって、客単価はまちまちであるといえるのではないか→その喫茶店のコンセプトによって違うのでは?とにかく単価は安くとも回転率を上げることで売上をあげるところもあれば、単価を高く設定しているところもあるのではないか。
    最後に、当座比率については標準偏差が大きいことからもあまり参考にすべき指標とはいえないのではないか→そもそも喫茶店の場合は現金商売であり、手持ちの現預金が各々で全く異なることが予想される為、安全性の指標としては当てに出来ないのではないか。

    といった感じです。経営指標を持ちいてこういった推測をした後に改めて自社のB/S、P/Lの各項目を検証することで、より具体的な改善点、施策が浮かび上がってくるのではないかと思います。又、新規事業、開業時の場合は、とにかく標準偏差が大きいかどうかをみるとよいと思います。例えば、黒字且つ自己資本プラス企業と比較して営業利益率に差異がなく、尚且つ標準偏差が小さいとしたら、その業種はかなりの確度で事業を起こした場合、似たような数値になると見なすことが出来ます(もちろん確実にそうなるとは限りませんが!)。

    以上になりますー。

    ※小企業よりかは中企業を対象にした指標になります。

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